市職員の管理職研修で行財政改革について次のような話をしました。
私は30年ほど舞鶴共済病院に勤務していましたが、初めは一番下の医員で採用され、そのあと医長、部長、主任部長、診療部長、副院長、院長と、いろいろな役職を経験しました。長く勤務医として仕事をする中で、診療科で一番下の医員としての辛さと楽(らく)さ、中間職の辛さと楽(らく)さ、一番上の院長職の厳しさなどを経験しました。また病院というのは特別な組織であり、医師、看護師、レントゲン技師・臨床検査技師や薬剤師そして事務職などとさまざまな職種があり、それらが横連携で仕事をすることで組織として働いております。様々な病気をもつ人と向き合い、患者の年齢や生活環境の違いを配慮する中で、多職種の職員が連携して対応するからできる仕事であります。
このような病院組織から市役所に入った時に、私は病院での組織運営は市役所においても役に立つと思いました。それは、市役所組織は病院組織と極めて似ているからです。病院は病気で苦しい人が来るところ、市役所は生活に苦しい人が来るところ、そういった苦しい人に対して高い専門性で迅速に対応するという手法が同じであること、いずれの仕事も金儲けが主たる仕事の目的ではなく、サービスが目的であり、利益にならないことでもするところが病院にも市役所にもあります。市役所は生活が苦しい人にどういう的確なことができるのか、出来るだけローコストで、そしてスピード感を持ってできるのかということが問われる仕事であると思っております。そして、病院にも市役所にも専門家がいる。病院には10以上の診療科があり、市役所にも多くの担当部署がありますので、それぞれの専門家が課題について高い専門性で処理していく作業はまったく同じだと思っています。
病院での各診療科の人事配置についても、各々の診療科部長と話をすれば性格や能力が分かりますし、同じ分野の医師に聞いたり、論文を読めば、部長の専門性のレベルが理解できます。専門性のレベルと人柄が分かれば、「この人には任せられる」、「この人は注意が必要だ」というような判断ができ、そういうやり方で人事を行ってきました。市役所には病院のように極めてレベルの高い分野はないけれど、皆さんと話をしていけば、その人の基本的な性格なり、物の考え方が分かりますので、「この人にはこれを任せることができる」というような判断をしております。病院で30年経験した組織運営を市役所の中でも機能させれば、市民の皆さんに喜ばれる行政サービスが出来るのではないかと思い、今日まで、毎年基本方針は変えず、バージョンアップといいますか、少しずつ進化させながら、脈々と行革を続けてきました。→ その2に続く